KPMG、国内企業の経済安全保障・地政学リスク対応に関する共同調査レポートを発表

更新日:2026.03.31

2026年3月31日 —— コンサルティング・インテリジェンス・レポート

KPMGコンサルティングとトムソン・ロイターが発表した最新の「経済安全保障・地政学リスクサーベイ2026」(速報版)は、日本企業がかつてない「適応の季節」を迎えていることを浮き彫りにした。2026年1月から2月にかけて実施された本調査(209社対象)からは、効率性を追い求めた従来のグローバリズムを脱ぎ捨て、リスク耐性(レジリエンス)を最優先する経営へのパラダイムシフトが鮮明に見て取れる。

1. 「脱・中国」とサプライチェーンの外科的手術

調査結果で最も衝撃的なのは、中国の貿易管理規制に対する懸念の急増だ。前回調査から18.0ポイント増の70.2%が懸念を示し、全体の33.7%が中国依存度の縮小を検討している。 これに伴い、ASEAN諸国やインド・ベトナムへの拠点分散が加速。単なる「China Plus One」ではなく、地政学的な境界線で世界地図を塗り替えるサプライチェーンの外科的手術が、いま日本企業の命題となっている。

2. 「自社努力」の限界と価格転嫁の決断

米国政権による施策への警戒も最大級だ。企業の65.1%が「相互関税」を自社への影響リスクとして挙げ、その具体的な対抗策として25.4%が「関税コストの価格転嫁」を検討している。従来、コスト増は内部努力で吸収するのが日本企業の「美徳」とされてきたが、高関税を自社努力では吸収しきれない実情が浮き彫りになった。

3. ガバナンスの「自律分散型」への移行

組織構造も大きな転換期にある。グループガバナンスの再編施策として、前回調査から増加し20.1%に達したのが「マネジメントの現地化」だ。各国の規制や制裁の網が複雑化する中、日本本社が一括管理する「中央集権モデル」から、現地で即断即決しリスクを遮断する「ファイアウォール型ガバナンス」への再編が急務となっている。

4. 台湾有事:具体的アクションの段階へ

台湾情勢の緊迫化を念頭に置いた取組みでは、19.7%が「リスク洗出し」を終え、すでに11.5%が「調達先の切替え・多元化」を具体的に実施している。これは、有事を「可能性」ではなく「前提」として経営に組み込み始めた証左と言える。

コンサルティング業界への示唆

本サーベイの結果は、コンサルティングファームの役割が「コスト削減・効率化」の支援から、「地政学インテリジェンスの構築」「有事BCPの実装」「分散型ガバナンスへの組織再編」といった、より高度で戦略的な防衛・攻勢スキームの提供へと完全にシフトしたことを示している。

KPMGコンサルティング ニュースリリース

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